今月の主題 臨床医のための遺伝子工学
Editorial
臨床医にとっての遺伝子工学とは
森下 竜一
1
1大阪大学医学部第4内科
pp.2066-2067
発行日 1997年11月10日
Published Date 1997/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904791
- 有料閲覧
- 文献概要
最初この企画を見たとき,これは大変難しいことを依頼された,と感じた.現在,分子生物学の飛躍的な進歩により,多くの疾患の原因が明らかにされ,分子病態に沿った治療法が考案されつつある.既に一部は臨床応用され,効果をあげていることが新聞などで報道されているので,耳にしていることと思う.また,なかには患者からその内容について質問された経験をお持ちの方も多いであろう.したがって,遺伝子工学を理解することは臨床医にとって重要であるのは間違いない.
だが,重要であることと理解できる,あるいは馴染みがあるということとは別であって,多くの臨床医の方は,遺伝子工学を理解する必要などないよ,と思われていることであろう.筆者も初めて遺伝子工学の実験を行うのに(10年程前になるが),従来の実験手法との違いに驚き,遺伝子工学を理解するのに苦労した(幸い,わからないまま実験を行っているうちに,完全ではないが理解できるようになり現在に至っているが).しかし,遺伝子工学の方法は理解できなくとも,そこから得られた果実は,実地診療のためにも臨床医が食べる必要がある.本特集がその手助けになれば幸いである.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.