LIFE SCIENCE 生命科学のトピックス・4
遺伝子工学によるワクチンの生産
本庶 佑
1
1大阪大学医学部
pp.730-731
発行日 1982年7月1日
Published Date 1982/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919593
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ワクチンに必要なウイルスの遺伝子は表面の抗原蛋白質だけであり操作に危険はまったくない
遺伝子工学の有用性を理解する上で最もよい例は,微生物におけるワクチンの生産であろう.今日,ワクチンの生産はウイルスを動物あるいは動物細胞に感染させ,そのウイルスを精製し,集めることによって作られている.この過程で,生産者は危険なウイルスそのものを扱わなければならず,常に感染の危険性にさらされている.
アメリカ合衆国国立癌研究所が行った大規模な実験結果によれば,ポリオーマという発癌性ウイルスを遺伝子工学の方法により,その一部をプラスミッドと連結させた場合には,発癌性を全く失うことが明らかにされた.
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