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遺伝子工学
新井 俊彦
1
1慶大医学部微生物学教室
pp.444-445
発行日 1982年5月1日
Published Date 1982/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202501
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特殊なウイルスを除いて,あらゆる生物が親から子に伝える性質の全情報はそのDNAを構成する塩基の配列によって決められている.したがって,それぞれの生物の持つDNAの全塩基配列がわかれば,その生物の能力,活動のすべてを知ることができる.最も単純な生物である細菌やそのウイルスを用いて,その生命機能を分子レベルで解析した分子生物学は,ついにこの分子下の解析を可能にしたのである.そこで,この技術を取り扱いが困難な生物や複雑な高等生物の遺伝子の研究にも取り入れるために開発されたのが遺伝子操作技術である.これは単なる技術であるが,その応用域が広く,また期待できる成果も大きいために,この技術を用いた研究とその成果を含めて遺伝子工学という名称が与えられるにいたっている.
このように,現在,遺伝子操作は分子遺伝学の基本手技になっており,分子レベルでの遺伝子研究が行われているあらゆる生物に応用されている.したがって,分子遺伝学研究者でこれができない者はいないし,基本手技を紹介した雑誌,単行本も多い.興味ある方には,比較的読みやすい「遺伝子操作実験法」(高木康敬(編):講談社サイエンテイフィク)をおすすめしたい.
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