今月の主題 止血機構とその異常
トピックス
遺伝子工学と凝固因子
谷本 光音
1
,
斎藤 英彦
1
1名古屋大学医学部・第1内科
pp.208-211
発行日 1986年2月10日
Published Date 1986/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220206
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近年の分子生物学のめざましい進歩により,各種細胞産物(酵素,ホルモン,ヘモグロビン,組織適合性抗原,免疫グロブリン,免疫応答リセプターなど)の支配遺伝子の一部またはすべての構造が明らかになり,これら産物の異常により引き起こされる疾患の解明が遺伝子レベルで行われはじめている.
一方,血友病を代表とする先天性凝固異常症の病態解析においても,その正常遺伝子がクローン化されはじめたことにより,これまでの蛋白レベルでの検討とともに,構造遺伝子の異常が解明されようとしている.また,とくに血友病遺伝子のクローン化は,これを用いた組み換え体による凝固因子の大量試験管内産生とその臨床利用の可能性を大きく拡げている.
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