今月の主題 消化器疾患の低侵襲治療手技
食道疾患
食道静脈瘤—内視鏡的硬化療法
大政 良二
1
,
鈴木 博昭
1東京慈恵会医科大学内視鏡部
pp.421-423
発行日 1997年3月10日
Published Date 1997/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904399
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ポイント
●現在,食道静脈瘤の低侵襲治療としては内視鏡的静脈瘤硬化療法(EIS),内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)など多くの手技が行われている.その選択にあたって留意することは,食道静脈瘤の治療時期(緊急出血例,待期例,予防例であるか),食道静脈瘤の程度(F因子,RC signの程度),肝機能障害の程度,肝癌合併の有無などについてである.これらを考慮したうえで,患者のQOLを優先して,EISやEVLあるいはEISとEVLの併用のいずれかを選択する.
●EISは,使用する硬化剤によりEO法とAS法に大きく分けられる.その治療目標,すなわち,食道静脈瘤だけの治療を目的とする(AS法)のか,食道静脈瘤だけでなくその供血路まで治療する(EO法)のかにより硬化剤を選択する.硬化剤の種類によって治療手技,治療時の侵襲程度が異なる.
●緊急出血例,肝機能高度不良例では,肝機能の維持,すなわち肝不全の防止を優先させ,できるだけ侵襲の少ない治療法(EVL,ASの血管内外併用注入法によるEIS)を選択する.それでも止血できない出血例には,CA法が有効である.
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