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数年にわたり皮下にリンパ腫様病変をきたす一症例
坂井 晃
1
1国立大竹病院内科(血液)
pp.634
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904250
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症例は現在80歳の女性であるが,数年前から1年に1回程度の割合で顔面,前胸部に皮下腫瘤が出現する.特に症状もなく,血液検査でも異常を認めない.生検ではpseudolymphoma,Castleman病(リンパ節に高度の形質細胞の増生を認める慢性炎症性疾患),ALH(atypical lymphoid hyperplasia)などと診断された.ALHと診断されたときの増殖しているB細胞にはmonoclonalityは認めず,Epstein-Barrウイルス(EBV)感染も疑い生検材料からのDNAを用いて検索したが陰性であった.また,一時プレドニンで治療されたこともあったが,病変は局所のみであり,生検後は経過観察された.さらに80歳になって原因不明の胸水貯留が出現,細胞診では悪性細胞は認めず,細胞表面マーカーの検索ではCD 4陽性のT細胞が優位に増加していた.この胸水貯留に対してはプレドニンの投与が有効であった.このように,本来リンパ節のある部位以外に節外性のリンパ球増殖を繰り返す興味ある疾患である.
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