書評
—平田結喜緒監訳—レジデントのための内分泌学
井村 裕夫
1
1京都大学
pp.577
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904213
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内分泌学は一般内科医にとって,必ずしも親しみやすい領域ではないようである.それはホルモンに関する一定の基礎知識を必要とすること,病気の診断にあたって煩雑な負荷試験を必要とすることが大きい理由であろう.研修医の中にも内分泌学は苦手であるという人が少なくない.負荷試験ばかりでは興味が持てないのは,むしろ当然であり,これには指導する側の責任もあるであろう.内分泌学の特徴である理論を重視するあまり,プラクティカルな立場を失いがちになってしまうからである.
この度翻訳,出版された“レジデントのための内分泌学”は,実用性を重んじた,いかにもアメリカらしい書物である.デューク大学のW.M.バーチ準教授が著者で,東京医科歯科大学の平田結喜緒助教授らのグループが翻訳されたものである.内科を研修中のレジデントが日常の臨床で遭遇する主要な内分泌疾患が取り上げられている.頻度の多いものにページを割き,頻度の少ない疾患はやや簡単に書かれている.“インポテンス”や“多毛症”が1つの章で取り上げられているのも,いかにもアメリカらしい.“インポテンス”はアメリカの内分泌外来では,しばしば主訴となる疾患であるが,日本ではこれを主訴としてくることは少ない.
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