メディカル・エッセー 「残りの日々」・1【新連載】
覧鏡喜老
和田 達雄
1
1神奈川県立がんセンター
pp.82-83
発行日 1995年1月20日
Published Date 1995/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407905141
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私はいわゆる戦中派である.
学徒出陣によって前線に赴いた友人たちがつぎつぎに戦死していた時代に,大空襲下の東京で正門前に下宿して医学部に通っていた.当時,都心で暮らすことはたいへんに危険だった.同級生は焼夷弾に直撃されて死ぬし,付属病院では火傷を負った被災者がつぎつぎに運びこまれては死んでいた.食べるものもなかった.
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