巻頭言
肺塞栓症—診断の緒における我田引水
松島 敏春
1
1川崎医科大学附属川崎病院内科(Ⅱ)
pp.921
発行日 1993年10月15日
Published Date 1993/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900742
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呼吸と循環(本誌)は密に関係しているものであり,肺と心は生命維持に重要な臓器であるため,肋骨で保護された胸郭内に相接して存在する.しかし,専門領域としては呼吸器と循環器とに分かれており,ほぼ同時期から,それぞれの認定医制度もスタートしている.当然,両分野に関連する疾患もあり,その1つに肺血栓塞栓症(pulmo-nary thromboembolism,PTE)があげられるが,教科書では呼吸器疾患のなかに記載されていることが多い.
PTEは一般に急激に発症し,症状も強く,治療効果も劇的で,診断が難しいとされている疾患であるため,呼吸器疾患の診断屋にとっては興味をそそられる垂涎の的である.かつて川崎医科大学に在籍した折には,剖検肺のマクロレビュー(ホルマリン固定肺の切り出し)に立ち会っていた.胸部X線写真から予想していた所見と異なった剖検所見が現れる度に反省していたが,PTEの頻度が多いのも驚きであった.
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