FORUM グローバルヘルスの現場力・Vol.18(最終回)
マラリア
-――伝統的知識からの解放
狩野 繁之
1
1国立研究開発法人国立国際医療研究センター研究所熱帯医学・マラリア研究部
pp.617-620
発行日 2023年2月25日
Published Date 2023/2/25
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28408617
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マラリアほど,人類に広くそして長く病気として知られ,そしてその本体がわからずにいた感染症はない.それどころか,最近の遺伝学的研究によると,どうやら人類は5~600万年前にヒトがサルから進化した頃から,すでにマラリアに感染していたであろうことがわかってきた.病原体も感染経路も不明,もちろん特効薬もない状況で,人類はマラリアに悩み続け,伝統的知識でそれと戦ってきた.多くは負け戦であったが,いくつかの革新的発見で局地戦に勝利し,今世紀に至ってわれわれがマラリアから解放される時は近い.
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