特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
免疫学的検査
感染関連検査〈微生物の抗原・抗体検査〉
マラリア
金子 明
1
1大阪市立大学大学院・医学研究科・寄生虫学
pp.427-430
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104863
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
異常値の出るメカニズムと臨床的意義
マラリアは人類にとって最も古く,かつ今なお重要な健康問題である.現在,世界総計200カ国のうち約半数でマラリア伝播がある.そのうち39カ国では今般の新たな対策法強化によりマラリア撲滅を視野に入れてきている1).しかし,マラリアによる死亡者数は依然世界全体で年間約100万人にのぼり,その80%は熱帯アフリカの5歳以下小児である.本邦でも1955年ぐらいまで土着媒介蚊によるマラリア伝播があった.近年,輸入感染症としてマラリアは再び重要度を増している.韓国では1993年よりマラリア伝播が再興し,いまだに続く.マラリアワクチンは完成していない.免疫のない日本人にとってマラリアは死に至る可能性のある急性疾患であるが,適切な化学療法により根治できる.重症化を抑え,マラリア死を防ぐためには早期診断が要であり,以下のポイントが重要となる.
(1)発熱:マラリアを鑑別診断に入れる.
(2)海外渡航歴:特に熱帯地滞在歴
(3)マラリア感染既往:再燃・再発の可能性
(4)原虫血症:診断の決め手は末梢血中マラリア原虫の証明
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.