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多発性嚢胞腎に伴う脳動脈瘤
中山 大典
1
1中山クリニック
pp.531
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904192
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症例は42歳の男性.家族歴では父親が59歳で脳血管障害にて死亡.平成2年2月,胸痛あり,E病院で入院加療.狭心症といわれ,その後外来通院.12月,咳痰あり当院へ受診.肺炎,高血圧症で加療.平成3年2月,狭心症の診断のためT病院へ紹介入院.冠動脈造影を施行するも異常なし.3月,腹部超音波検査で多発性嚢胞腎と診断.腎結石と腎出血もみられた.その後受診せず.7月,めまい,頭重感あり受診.血圧160/100.脳神経学的に異常なかったが,脳動脈瘤の合併を疑い,脳神経外科へ紹介.MRAを施行し,中大脳動脈瘤が疑われた.10月,脳血管撮影施行.右中大脳動脈瘤ならびに左内頸後交通動脈瘤の診断.11月,T大学病院にてclipping手術施行.以後降圧療法施行.平成4年,風疹,5年,顎下部腫瘍(膠様癌,原発不明),6年,糖尿病併発.糖尿病,高血圧のコントロール良好であったが,7年4月11日未明,頭痛を訴え,昏睡となり翌々日死亡.頭部CT所見では,脳室穿破を伴うくも膜下出血であった(脳血管写未施行).
本例は,多発性嚢胞腎に合併した脳動脈瘤が破裂前に発見でき,首尾よく手術ができたが,数年後くも膜下出血にて死亡した.
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