増刊号 Common Disease 200の治療戦略
感染症
ブドウ球菌感染症
長谷川 廣文
1
1近畿大学医学部第3内科
pp.524-526
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904189
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疾患概念と病態
ブドウ球菌は,ヒトの皮膚,鼻腔,口腔,腸管,外陰部などの常在菌であり,コアグラーゼ陽性の黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureusと,コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)である表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis,Staphylococcus saprophiticus)などに分類される.
臨床的には,黄色ブドウ球菌が化膿性疾患(毛嚢炎,せつ,癰,中耳炎,肺炎,肺膿瘍,膿胸,骨髄炎など)あるいは毒素性疾患(食中毒,毒素性ショック症候群〔TSS〕など)の起炎菌として重要である.最近,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の増加がみられているが,この菌は多剤耐性を示し,院内感染を引き起こすことから注目されている.CNSの病原性はこれまであまり問題とならなかったが,医学の進歩に伴う易感染患者の増加(血管内カテーテル留置,人工臓器手術,人工関節手術,持続性腹膜透析〔CAPD〕など)に付随して菌血症,感染性心内膜炎,腹膜炎などを起こし問題となってきている.
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