“ホッ”とspot
肝膿瘍と周期熱
近藤 英樹
1
1大川病院内科
pp.377
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904125
- 有料閲覧
- 文献概要
一定の間隔をおいて,規則的,周期的に発熱を繰り返す病態は,周期熱と呼ばれている.その原因としては,マラリヤ,回帰熱,Hodgkin病,家族性地中海熱,エチオコラノロン熱などが一般に知られているが,肺結核,腸チフス,髄膜炎,歯周炎などの非特異的な感染症でも同様の発熱を呈することが報告されている.
症例は32歳の女性.発熱,全身倦怠感を主訴として来院.2ヵ月前より,約10日間の発熱と約10日間の解熱期を繰り返しているという.白血球数 26,000/μl,ヘモグロビン 10.7g/dl,総ビリルビン 0.4mg/dl,GOT 9IU/l,GPT 221U/l,CRP 67.2mg/dlと高炎症反応は認められたが,肝機能は正常.胸腹部X線,心エコーでも異常は認められなかった.入院後も7〜12日間の有熱期と10〜12日間の無熱期を規則正しく繰り返した.約3カ月の経過中,腹部症状はみられなかったが,不明熱の精査のため,腹部CTを撮ったところ,肝内に多数の低吸収域が認められた.肝膿瘍を疑い,抗生剤を投与したところ,以後発熱は消失し,次第に肝内の低吸収域は吸収され,無事退院した.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.