増刊号 Common Disease 200の治療戦略
呼吸器疾患
気管支拡張症
富井 啓介
1
1天理よろづ相談所病院呼吸器内科
pp.298-299
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904089
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疾患概念と病態
気管支拡張症は“気道壁の破壊に伴う気管支の不可逆性拡張”と形態学的に規定された概念で,その成因,臨床像は多様である.これまで診断には気管支造影が必須であったが,昨今では高分解能CTにより非侵襲的に行えるようになった.ただし,一般に気管支拡張症という場合,肺癌,肺結核,肺化膿症,無気肺,肺線維症,アレルギー性気管支肺アスペルギールス症などに続発してできたものは除かれる.
臨床的には,普段無症状で突発的な血痰を繰り返すdry typeと,大量の喀痰を主症状とするwettypeとに大別される.dry typeには中葉症候群や幼少時期の一過性の感染症が原因と推定されるものが多く1),通常いずれかの肺葉や区域に限局した分布(図1)をとり,肺機能の低下はあまり認めない.一方,wet typeの多くは慢性副鼻腔炎を伴い,いわゆる副鼻腔気管支症候群(SBS)に含まれ,中にはびまん性汎細気管支炎(DPB)が併存ないし進展した2)と考えられる重症例(びまん性気管支拡張症)(図2)もあり,総じて閉塞性換気障害を呈し,呼吸不全を併発する場合もある.
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