増刊号 Common Disease 200の治療戦略
呼吸器疾患
慢性閉塞性肺疾患—慢性気管支炎・肺気腫
神野 悟
1
1東京都老人医療センター呼吸器科
pp.289-293
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904086
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疾患概念と病態
肺気腫と慢性気管支炎は,慢性閉塞性肺疾患を構成する2大疾患である.いずれも喫煙によってもたらされる炎症性疾患で,肺機能上,臨床上,不可逆性の閉塞性換気障害を呈することより慢性閉塞性肺疾患(COPD)として一括されることが多い.しかし,肺気腫の定義は1987年の米国胸部疾患学会の定義によると,“終末細気管支より末梢の気腔,すなわち呼吸細気管支,導管,肺胞が破壊されて,そのため拡張した状態”と,純粋な病理学的診断である.すなわち,必ずしも肺気腫の進展と閉塞性換気障害は並行しない.Hoggらは,切除標本をもとに肺気腫の病理学的重症度との関連について調査した(Thorax,1994年).その結果,肺気腫の病理学的重症度と閉塞性換気障害とは相関しないことを示した.またBelbらは,CTの画像診断上の肺気腫重症度と閉塞性換気障害との関連を調査し,同様の結果を得ている(Am RevRespir Dis,1933年).
一方,慢性気管支炎は米国胸部疾患学会の定義では“気管支における慢性,反復性(3カ月間ほとんど毎日,少なくとも2年連続)の過剰な粘液分泌状態で,気管支拡張症や結核などによるものは除外される”.
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