“ホッ”とspot
若年者癌性腹膜炎
益岡 弘司
1
1尾鷲総合病院内科
pp.173
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904031
- 有料閲覧
- 文献概要
生来神経質で内向的な性格の32歳の男性.平成5年8月頃より腹部全体の鈍痛が出現した.徐々に増強し夜も眠れなくなったため,同年10月に東京都内の某大学病院を受診した.過敏性腸症候群としての説明を受け,投薬にて経過観察されたが,改善しないため,同年12月に東京都内の某公立病院を受診した.やはり同様の説明を受け,外来にて投薬を受けた.腹痛の訴えが強くなったために,平成6年1月22日に精査目的で同院に入院した.入院時の腹部X線で初めてイレウスの状態であるのに気づかれ,また入院後の腹部超音波検査で右水腎症に気づかれた.2月23日に開腹手術となったが,結腸癌による癌性腹膜炎で,腹腔内は上行結腸から右尿管まで一塊となっていた.摘出不能にて,回腸横行結腸バイパス術のみ施行された.同年4月5日,家族の希望で出身地にある本院に転院となった.すでに経口摂取不能で,高カロリー輸液のための中心静脈カテーテルをヘパリンロックされて,新幹線に乗って東京から当地へ帰ってこられた.本院ではもっぱらモルヒネによる除痛と全身管理を行ったが,5月22日に死亡された.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.