今月の主題 最新の肺癌診療
的確な診断
癌性心のう炎,癌性胸膜炎の診断と治療
野田 和正
1
,
野村 郁男
1
1神奈川県立がんセンター・内科第3科
pp.444-446
発行日 1991年3月10日
Published Date 1991/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909612
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ポイント
1)肺癌に伴う癌性心のう炎は,肺癌患者の2〜5%にみられ,腺癌に多くみられる.
2)心のう持続ドレナージにて,薬剤(MMC,CDDPなど)を非吸収性ステロイドとともに注入し,一定時間留置後に排液する.心エコーで心のう水再貯留がなくなったら,抜管する.
3)心のう水のコントロールにより,PSやQOLの改善に寄与し,在宅可能となる.
4)肺癌に伴う癌性胸膜炎は日常しばしばみられ,腺癌に伴うことが多い.
5)中等量〜大量に貯留している場合には,胸腔内持続ドレナージを施行し,胸水排除後に薬剤(MMC,ADR,CDDP,OK-432など)を注入し,一定時間留置後に排液して,胸膜を固定し胸水の再貯留を防止する.
6)癌性胸膜炎は,胸腔における薬剤投与に対する癌細胞や生体の影響を観察することができ,癌治療のモデル的側面も持っていると言え,今後の研究の成果が待たれる.
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