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ERCP直後には腹部CT検査を
桑原 直昭
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1広島逓信病院内科
pp.151
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904022
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胆道・膵臓の検査にERCP(内視鏡的逆行性膵管胆道造影)は一般に広く行われている検査です.しかし,末梢の病変に関してはX線写真のみでは所見を見落とす例があります.ERCP後に腹部CT検査を行い,有益な情報を得ました.
症例は69歳の女性で,時々上腹部に激痛をきたしていました.腹部超音波・CTで多発性の肝嚢胞を指摘されていましたが,特には治療はされていませんでした.再度激痛が出現したため,当科に紹介入院となりました.ERCでは肝内胆管は左右ともに圧排・狭窄像を認めましたが,嚢胞との交通像は明らかではありませんでした.しかし,直後に行った腹部CTでは写真のように肝右葉の最大の嚢胞に造影剤の貯留を認め(図1),その他の嚢胞には造影剤の貯留は認められず,この最大の嚢胞のみが胆道との交通を持ち,感染を繰り返していたものと考えました.嚢胞穿刺では胆汁を採取したため,手術療法を施行しました.手術ではこの最大の嚢胞のみが胆汁により変色しており,他の嚢胞には異常を認めませんでした.胆道との交通孔の縫合および嚢胞の開窓術を行いました.
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