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敗戦直後の思い出
冬城 巴
1
,
編集部
1冬城産婦人科
pp.121
発行日 1970年5月1日
Published Date 1970/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914890
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私が入学したのは敗戦直後の昭和22年でした。今はもうありませんが,当時は聖路加病院がGHQに接収され,私たちは日赤の学校と一緒になったデモンストレーションスクールの第一期生だったわけです。授業や実習などは一緒でも日常生活は別々でした。聖路加と日赤とでは,学生同志にも生活感覚の違いがあって興味深かったものです。実習に出ても,私たち聖路加の学生は婦長さんや,先生方を“△△さん”と呼ぶのが習慣でしたが,日赤の学生さんは,“〇〇婦長殿”,“××医官殿”と直立不動の姿勢で,ああやっぱり違うものだと思ったことを憶えています。
デモンストレーションスクールでは,統一したユニホームが決められていて,いつもはその服装でしたが,聖路加や日赤でそれぞれの行事がある時は,晴れて母校のユニホームを着られたのです。私たちは,決められた時に聖路加病院で“バラのパーティ”と呼ばれるパーティがあり,その前日には,一生懸命アイロンをかけて,さっそうとして歩けるのが楽しみで仕方がありませんでした。日赤にも,行事があると独特のユニホームを着て出かけて行ったり──。
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