増刊号 Common Disease 200の治療戦略
消化器疾患
胃手術後障害(ダンピング症候群)
小沢 邦寿
1
1帝京大学市原病院外科
pp.128-129
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904012
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疾患概念と病態
1.早期ダンピング症候群
胃切除後の患者に食後30分以内に起こる発汗,動悸,眩暈,顔面紅潮などの全身症状と,腹痛,下痢などの腹部症状である.高張の食餌(特に糖質の多い流動物)が急に小腸内に移動し,拡張や蠕動亢進が起こり,小腸内は高浸透圧となり,血流分布の異常や高血糖をきたす.セロトニン,ヒスタミンなどの血管作動物質の遊離や,VIP(vasoactive intestinal peptide)などの消化管ホルモンの作用の関与が指摘されており,神経質な人に多い傾向がみられる.ビルロートⅠ法よりⅡ法に多く,胃全摘でさらに頻度が高いとされるが,実際に薬物療法を要するほどのダンピング症候群はむしろ少ないと考えられる.症状による診断の指標としては,日本消化器外科学会の診断基準がある1).
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