書評
—萬年徹・宮武正監訳—メリット神経病学 第3版(原著第8版)
柳原 武彦
1
1大阪大学医学部神経内科
pp.85
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402903993
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本書の英文原著は1955年に故HH Merritt教授により“Text book of Neurology”として初版が出版されて以来,米国の代表的な神経学の教科書として広く親しまれ,現在第8版に至っている.初版から第6版まではMerritt教授がみずから手を下されたが,その後LP Rowland教授を編者として引き継がれ,1989年に出版された第8版はコロンビア大学のニューヨーク神経研究所で両教授の薫陶を受けた70人以上の神経学者,神経学専門医を中心に執筆されている.
この第8版では前版までに広く記載のあった脳血管障害,中枢神経変性疾患,脱髄性疾患,神経系腫瘍,感染症,てんかん,末梢神経障害,筋疾患に新しい知見が加えられ,最近日本でも問題となってきているエイズに関しても,その神経系に見られる症候や合併症の記載がみられる.欧米では近年,悪性腫瘍に関連した神経疾患が臨床の場で鑑別診断の一つとしてよく問題になるが,この版でも傍腫瘍性症候群などに最新の知見が記載されている.また,神経系に数多くある遺伝性疾患についても,リソゾーム病のように代謝異常の確立されているものについて,その異常が詳細に記述されている.
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