増刊号 Common Drugs 350の投与戦略
循環器疾患治療薬
ACE阻害薬(降圧薬・心不全治療薬)
レニベース(萬有)
濱田 希臣
1
1愛媛大学医学部第2内科
pp.70-72
発行日 1996年11月30日
Published Date 1996/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905436
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臨床薬理
●作用機序:レニン—アンジオテンシン—アルドステロン(RAA)系は,腎臓と内分泌系の血圧調節因子のなかで最も重要なものであり,本系の活性物質であるアンジオテンシンIIの作用を介して,血圧と体液量・電解質の調節を行っている.ACE阻害薬は図1に示すように,アンジオテンシンII生成の抑制,ブラジキニンの増加により,血圧の下降,心不全の改善をもたらしている.さらに,腎外組織におけるRAA系もオートクリン,パラクリンとして,循環調節系の重要な役割をになっている.心臓組織内RA系の亢進は,冠動脈には収縮と血管構成細胞などの増殖を,心筋細胞に対しては収縮力の増強作用を,また間質系細胞の著しい増殖をもたらすことが知られている.したがって,この系の持続的な亢進は心筋の線維化と心筋障害をもたらし,心臓ポンプ機能を減弱させるとともに,不整脈の発生を増加させる.ACE阻害薬はこれらの異常を抑制することが知られている.
●血中濃度モニタリング:本剤10mg1回経口投与によるTmaxは,腎機能の正常な高血圧患者では4時間,慢性腎不全高血圧患者では9時間であり,しかも血中濃度曲線下面積の著しい増大が認められる.腎機能障害患者での使用には注意が必要である.
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