“ホッ”とspot
肝硬変には頭部MRIを
桑原 直昭
1
1広島逓信病院内科
pp.638
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904254
- 有料閲覧
- 文献概要
画像診断の進歩は各種疾患にその応用範囲を広げてきています.肝疾患では主に肝臓自体に対する画像診断を中心に論じられてきていましたが,肝性脳症に対しての画像診断も行われるようになってきています.肝性脳症では頭部MRIのT1強調画像で左右対称性の大脳基底核部位の信号強度の増強が特徴的所見とされています.しかし,明らかな肝性脳症がない慢性肝疾患患者でもこの所見が認められます(図1,2).
筆者らの施設では明らかな肝性脳症のないウイルス性肝硬変症の59.2%でこの所見が認められています.一方,慢性ウイルス性肝炎,急性肝炎重症例では変化が認められません.潜在性肝性脳症の診断は精神神経機能検査などが用いられてきていますが,時間的制約もあり,なかなか外来で検査しにくいのが現状です.しかし,この検査ではある程度客観的な判断ができ,今後ますます重要になっていくと思われます.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.