らいを超えて・1
萬霊山
前浜 政子
1
1長島愛生園
pp.76-79
発行日 1979年1月1日
Published Date 1979/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918588
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はじめに
無人の長島に病者の人が住むようになって,間もなく50年目を迎えようとしている.その歳月の歩みの中に,枯淡な風貌を持った老いの人を見るとき,その人々の苦難の歴史にふれる思いがする.
らいを宣告された時から,別離,悲哀,病苦,苦悩,苦痛,憎悪,怨念,恐怖,不安など,身体的,精神的にあらゆる極限状況に対決し,また,対決させられながら,その中の1つ1つを超えて生きた,生きる人たちの姿,それがらいという病気を克服した姿ではないかと私は思う.ある人は‘らいの悲惨,業苦を世に訴える時代は過ぎました,それよりも,自分たちがいかに生きたか,現在をどのように生きているかを知ってもらい,理解を得ることが大切ではないかと思います’と言う.
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