増刊号 Common Disease 200の治療戦略
循環器疾患
心筋炎
河合 祥雄
1
,
久岡 英彦
1
,
片山 尚子
1
1順天堂大学医学部循環器内科
pp.67-69
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402903988
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
疾患概念と病態
1.疾患概念
心筋炎は心(室)筋を主な障害部位とする炎症で,本来,顕微鏡所見に基づいた疾患概念であり,少なくとも1899年以来の長い歴史がある.しかし,一般的に心筋炎とは臨床的には心臓の炎症に基づく“徴候”と“症状”を有するものを指す.病理学総論で,炎症は「局所的な防御反応(組織における循環障害,滲出,細胞増殖,浸潤)」と理解される.微生物による感染以外に代謝,免疫学的機序,中毒性物質,結合組織病,肉芽腫性病変,物理的諸因子などが心筋炎を惹起する.炎症の原因が不明なものは特発性に分類され,実際,本邦の剖検例のほとんどは原因不明の非特異的心筋炎と診断されている.その大部分は,ウイルス性心筋炎と想定されている.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.