増刊号 わかりやすいエコー法の臨床
心エコー法
疾患と心エコー図異常
心筋炎
千田 彰一
1
,
阪本 整司
1
,
松尾 裕英
1
1香川医科大学・第2内科
pp.167-171
発行日 1991年10月30日
Published Date 1991/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901140
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
心筋炎とは,心筋に炎症性細胞浸潤が生じ心筋組織に変化をきたしているものであり1),その病態については不明な点も残されているが,軽度の心電図変化のみで経過する不顕性の例から,房室ブロックによりAdams-Stokes症候群をきたす例,高度の収縮不全により心原性ショックに至る例,劇症型(Fiedler心筋炎)まで臨床像も多様である.
その原因としては,ウイルス,細菌などによる感染性,放射線,電気ショックなどの物理的刺激,化学薬品,また膠原病やサルコイドーシス,それに特発性など多数が挙げられている.なかでもウイルス性,特発性のものが多く,特発性と呼ばれているものも,ほとんどはウイルスが原因と考えられている.最近では,臨床,実験的研究の両面から,ウイルス性心筋炎の後遺症として心拡大を呈する慢性心筋炎と拡張型心筋症との関連が注目されるに至ってきており2),本症診断の重要性が増してきている.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.