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急変の前兆
佐藤 祐二
1
1茨城西南医療センター病院血液・腫瘍科
pp.45
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402903978
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重症感染症を併発している患者さんが急変する場合などで,急変の数時間前から一種の前兆ともいえる変化に気づくことがあります.私どもの科では白血病などの血液系悪性腫瘍に対して強力な化学療法を行う関係で,重篤な骨髄抑制を経験することがしばしばあります.末梢血の白血球数が100/μlであるとか,好中球数が0/μlであるとかいうことも珍しくありません.こうした状態では,いきなり敗血症を起こして死亡することもあり得ますので,患者さんの状態の変化については注意深い観察が必要です.好中球が0/μlともなると,たいていの場合39℃や40℃の熱発をしており,熱の高低やCRPの高低自体は状態の悪化の直接の指標にはなりません.こうした場合に,言葉は悪いのですが,患者さんの「生き」の良し悪しが最も重要な目安となります.「生き」の良し悪しはもちろん数字で表せるものではありません.臨床医の経験から判断されるもので,「生き」の変化がすなわち急変の前兆となります.
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