“ホッ”とspot
人間ドックにERCPを
石川 清隆
1
1小張総合病院内科
pp.41
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402903976
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膵癌が発見しにくいことは周知の事実であり,また見つかったときにはすでに手遅れなものが多いこともよく知られている.
私が出会った症例は54歳の男性(昔は大酒家)で,軽度の上腹部痛・背部痛を訴え,総合病院の内科を受診し,血液・尿検査,上部消化管内視鏡,腹部CT検査などを施行された結果,ごく軽度の胃潰瘍と診断・投薬されており,また整形外科からは変形性腰椎症の診断で鎮痛薬も処方されていた.2ヵ月経過したが,症状は全く良くならず,食欲も低下してきたため,知人の勧めで当院内科を受診し,再度,血液・尿・便検査,上部消化管内視鏡,腹部エコー,腹部CT検査などを施行することになった.しかしながら,内科的には今回も特に大きな異常はなく(腹部エコー:膵尾部は腸管ガスで観察不良.膵CT:膵臓は全体に腫大傾向はあるが,明らかな占居性病変なし),こっちとしても整形外科に回したかったが,本人と知人もそれでは今までと同じだということで,徹底的な検査を強く希望した.内心,過剰医療かとも思いながらも,もしこれ以上診るとしたら膵臓しかないと思い,ERCP(内視鏡的逆行性膵胆管造影)を実施したところ,意外にも体尾部に及ぶ膵癌と判明した.
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