“ホッ”とspot
99mTc-MAA動注肝血流シンチグラムにより動注化学療法中に発生した胃潰瘍の一過性増悪をきたした一例
増永 高晴
1
1国家公務員等共済組合連合会北陸病院消化器内科
pp.14
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402903965
- 有料閲覧
- 文献概要
高度進行肝細胞癌に対するリザーバーを用いた抗癌剤の持続動注療法の際,抗癌剤の胃・十二指腸領域への肝外流出の有無を評価する目的では,リザーバーより99mTc-macroaggregated albumin(99mTc-MAA)注入による肝血流シンチグラムが有用と報告されている.しかし,今回,持続動注により発生した胃潰瘍が99mTc-AMM動注後一過性に増悪したと思われる一例を経験した.
症例は60歳の男性.門脈腫瘍塞栓を伴うびまん性の肝細胞癌に対して,カテーテル先端を固有肝動脈起始部に置き,動注リザーバーを大腿部皮下に埋め込み,肝動脈持続動注療法(CDDP 10mg/day+5-FU 250 mg/day 3日間/週,5-FU 250mg/day 2日間/週,休薬2日間/週を1クール)を施行した.2クール施行中より空腹時の心窩部痛が出現し,上部消化管内視鏡検査にて胃幽門部大彎に凝血塊の付着を伴うAl stageの潰瘍を認めた.このためPPI(タケプロン®)などの抗潰瘍剤投与を開始し,痛みの軽減を認めた.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.