図解・病態のメカニズム—分子レベルからみた神経疾患・3
多因子遺伝からのアプローチ—アルツハイマー病
辻 省次
1
1新潟大学脳研究所神経内科
pp.2090-2093
発行日 1995年10月10日
Published Date 1995/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402903908
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先頃,米国のレーガン元大統領がアルツハイマー病であることを発表して,わが国でも一般の人たちのアルツハイマー病に対する関心が高まっている.わが国においても,人口の急速な高齢化に伴い,痴呆老人が増加の一途をたどっており,社会的にも大きな問題となりつつある.アルツハイマー病は脳血管性痴呆と並ぶ代表的な成人の痴呆性疾患であり,現在,わが国における痴呆老人はおよそ100万人を超えると推定されている.このうちアルツハイマー病と脳血管性痴呆の比率はおよそ3:4程度と推定されている.発症年齢については,初老期(40〜65歳)の発症の場合を早発型アルツハイマー病(あるいは狭義のアルツハイマー病),老年期(65歳以降)発症の場合を遅発型アルツハイマー病(あるいは老年期痴呆)と分類することが行われてきたが,最近では,病理学的にも病態機序の上からも,両者に本質的な差はないとする考え方から,両者をあわせてアルツハイマー型痴呆(dementia of Alzheimer type)という名で呼ぶことが多い.
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