特集 神経系疾患と臨床検査
Ⅰ.生化学・遺伝子
1.アルツハイマー病
奥泉 薫
1
,
辻 省次
1
Kaoru OKUIZUMI
1
,
Shoji TSUJI
1
1新潟大学脳研究所神経内科
pp.1230-1234
発行日 1997年10月30日
Published Date 1997/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903464
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
近年の分子遺伝学の進歩により,これまで明らかでなかったアルツハイマー病(Alzheimer disease;AD)の病因に関連した遺伝子が次々と明らかとなった.アルツハイマー病の大多数は明らかな家族歴のない孤発性アルツハイマー病であるが,少数例ではあるが常染色体優性遺伝を示す家族性アルツハイマー病(fa-milial AD;FAD)が存在する.また,これらはそれぞれ発症年齢で65歳を境に(欧米では60歳を境とすることも多い)早発型と晩発型とに分類されている.アルツハイマー病の病因解明という観点から,分子遺伝学的には現在大きく分けて2面からのアプローチが行われている.すなわち早発型FADでは主として単一遺伝子病としての見地からのアプローチが,孤発性アルツハイマー病,晩発型FADでは主として多因子遺伝学的なアプローチが行われている.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.