これからの医療と医療制度・20
医療施設間の連携
寺崎 仁
1
1日本大学医学部医療管理学
pp.1646-1647
発行日 1995年8月10日
Published Date 1995/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402903819
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医療の高度化や多様化に伴い,病院などの医療施設が機能の上で分化してくると,一つの医療施設だけですべての医療ニーズに対応することは極めて難しいこととなる.例えば,主にcommondiseaseなどを対象としたプライマリ・ケア的な医療と,高度な専門的技術を必要とする医療を,同じ施設の中で同等な重みをもって提供しようとするならば,医療機能の観点からレベルの大きく異なる機器や設備,あるいは診療にかかわる組織体制を整備しなければならない.やってできないことではないが,高度医療に必要な非常に重装備とされる医療機器を揃え,それでなおかつ通院患者のための外来部門も充実させなければならない.それは,かなり非効率的な資源の使い方で多くの無駄を生み,また施設の管理や運営面でも相当な困難を伴う.よく鉄道のダイヤなどにたとえられるが,「鈍行」に乗りたい客と「特急」に乗りたい客とを一つの列車に乗せ,各駅に停車しながらも特急としてのスピードが求められるのと同じようなものである.
30年くらい前までは,100床前後のベッドを有し,外科領域では全身麻酔での胃全摘手術などができれば,大方の医療ニーズには十分対応できる状況にあった.
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