図解 病態のしくみ—遺伝子・サイトカインからみた血液疾患・10
TTP/HUS
横山 健次
1
,
半田 誠
2
1慶應義塾大学医学部内科
2慶應義塾大学輸血センター
pp.2254-2257
発行日 1994年10月10日
Published Date 1994/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402903032
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
●はじめに 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)は,血小板減少,微小血管性溶血性貧血,腎機能障害,精神神経障害,発熱を5主徴とする稀な疾患であり,1925年にMoschcowitzにより初めて報告された1).一方,溶血性尿毒症症候群(HUS)は,急性腎不全,溶血性貧血,血小板減少を主徴とする疾患であり,1955年にGasserらにより最初に報告された2).TTPとHUSの差異に関しては議論はあるが,臨床症状では一般に,HUSはTTPに比し小児に多く,腎機能障害が強いが,一方,精神神経障害は認めないか弱いとされている.また病理所見では,両者ともに炎症反応を伴わない微小血管の硝子様微小血栓を特徴とするが,TTPでは全身の諸臓器に血栓が認められるのに比し,HUSでは腎に限局するといわれている.TTPとHUSでは一般に以上のような相違点が指摘されているが,実際には明確に区別するのは困難なことが多く,病態,病因に関しては本質的には差はないと思われる.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.