特集 血栓症と血小板凝固線溶系検査
血栓症の病態
6.TTP/HUS
高橋 芳右
1
Hoyu TAKAHASHI
1
1新潟大学医学部附属病院輸血部
pp.61-63
発行日 1996年10月30日
Published Date 1996/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903076
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概念
血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic throm-bocytopenic purpura; TTP)は,1924年Moschc-owitzにより最初に報告された特異な臨床像を呈する症候群である.臨床的には細小血管障害性溶血性貧血,血小板減少症,動揺する精神神経症状,腎障害および発熱を主徴とし,脳,腎,心,膵,副腎,脾を主体とした広範な組織の細動脈および毛細血管に,主として血小板から成る微小血栓形成をきたす.TTPは種々の病態により惹起され,全身性エリテマトーデスなどの膠原病,慢性関節リウマチ,悪性腫瘍,妊娠,マイトマイシン,シスプラチン,シクロスポリンなどの薬剤投与,ウイルス感染,細菌性心内膜炎などに随伴して起こり,また,特発性,家族性の発症もある.最近では,HIV感染者での発症も注目されている.
一方,溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syn-drome; HUS)は1955年Gasserらにより初めて報告された急性腎不全,溶血性貧血,血小板減少症を主徴とする症候群である.TTPと比較し,HUSは幼児に好発し,胃腸症状(下痢,血便,腹痛)が先行する場合が多く,腎不全をきたしやすい.病変は比較的腎に限局し,病理組織学的には糸球体係蹄内皮細胞の腫脹,内皮下の浮腫・細線維綿花状物質の貯留,血小板およびフィブリンから成る微小血栓がみられる.
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