今月の主題 外科から内科へのメッセージ
内視鏡下外科手術の現況と問題点
進歩する内視鏡下手術とその功罪
山川 達郎
1
,
石川 泰郎
1
,
酒井 滋
1
,
加納 宣康
1
1帝京大学溝口病院外科
pp.893-898
発行日 1994年5月10日
Published Date 1994/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402902720
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ポイント
●胆石症の治療法としての腹腔鏡下胆嚢摘出術は,術中の侵襲も少なく,術後の鎮痛剤の使用も少なくて済み,術後第1日目からの食事摂取,早期離床,早期社会復帰などが可能であることから,今日では定型的術式としての地位を不動のものにしている.
●しかし,他臓器損傷や出血などの合併症も起こり得るため,施行者は腹腔鏡や胸腔鏡による検査法,一般的な開胸・開腹手術手技や周術期管理,合併症の治療法,腹腔鏡下にみる解剖学や機器類の使用法に精通していなければならない.
●胆嚢摘出術以外の腹腔鏡下手術としては,現在,鼠径ヘルニア修復,癒着剥離,虫垂切除,迷走神経切離,腸切除,潰瘍穿孔部修復,胃部分切除,肝嚢胞造窓,胃瘻造設などが行われている.
●しかし,腹腔鏡下手術を適応する場合には,それが従来の手術に比し理論的に正しく,それにより,より良き成績が得られるものでなければならない.真に適応すべき症例に試みて初めて意義のある手術法である.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.