今月の主題 大腸疾患診療の新時代
よくある大腸疾患:日常診療の視点から
大腸ポリープと大腸癌—今日の標準的診断と治療
小林 世美
1
1愛知県がんセンター・消化器内科
pp.1560-1563
発行日 1991年9月10日
Published Date 1991/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901049
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ポイント
I.スクリーニング
1)直腸出血は大腸癌の比較的初期に起こる症状である.
2)大腸癌患者の第一度近親者(親子,同胞)は大腸癌のハイリスク者である.
3)直腸指診では大腸癌の約3分の1が触診可能である.
4)便潜血検査は無症状者の大腸癌スクリーニングに有用であるが,1cm以下の腺腫の拾い上げには役立たない.
5)Sigmoidoscopyは大腸癌の約80%の発見に役立つ.
6)簡易式大腸X線検査は実地医家でのスクリーニング検査および簡易精密検査として有用な方法である.
II.精密検査
1)精密検査の第一次選択は注腸X線検査である.
2)内視鏡検査は病変の良悪性の鑑別,および平坦,陥凹型病変の発見に威力を発揮する.
III.治療
1)内視鏡的に切除可能な病変はすべて内視鏡治療の対象になるが,とくに5mm以上の場合,sm癌もありうるので切除すべきである.組織検査の結果,腺腫とm癌は治療が終了するが,sm癌は原則として開腹腸切除を行う.
2)sm癌および進行癌はリンパ節廓清を含めた開腹手術を行う.
3)根治療法の不能症例では姑息手術や制癌剤投与などを行う.
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