今月の主題 アレルギー疾患診療の実際
治療の実際
食物アレルギー
馬場 実
1
1同愛記念病院・小児科
pp.328-330
発行日 1991年2月10日
Published Date 1991/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900732
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食物が原因であるアレルギー疾患,すなわち食物アレルギーが増加の傾向にあるといわれている.その理由としては,1)食生活の多様化,2)乳児期の食事内容の変化,とくに離乳の早期化,3)関心の高まり,などをあげることができよう.これらのうちで,とくに筆者が注目しているのは離乳の早期化の問題であり,卵の投与開始時期が早くなったことにより,いわゆるアトピー素因を有する個体を感作し,その後のアレルギー疾患の発症を促すこと(アレルギーマーチの進展)1)が考えられる.
しかしながら,アレルギー疾患の発症になんらかの食物が関与していることを確定することは必ずしも容易ではない.原因を正しく診断するためには,1)問診により摂取食物と症状発現との関係を十分に聞きだすこと,ただし,この場合,ある種の先入観をもって質問すると,誤った回答を得ることがある.2)免疫学的特異抗体検索法(RAST, MAST, FAST)などの結果をただちに信頼せず,できれば数回行うこと.3)除去,誘発試験は入院させて行うこと,2回以上実施して同じ結果が得られれば,その食物を原因と決定してほぼ間違いない.
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