今月の主題 アレルギー疾患診療の実際
治療の実際
運動誘発アナフィラキシー
須甲 松伸
1
1東京大学医学部・物療内科
pp.331-333
発行日 1991年2月10日
Published Date 1991/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900733
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寒冷蕁麻疹,温熱蕁麻疹,光線過敏症などは,温度,光線,皮膚の圧迫のような物理的刺激によって発現するアレルギー様症状で,物理的アレルギーと呼ばれている.運動という行為もアレルギー様症状を起こすことがある.運動中に,全身の蕁麻疹,紅潮,血管浮腫,腹痛,下痢,呼吸困難,鼻症状,意識消失,低血圧などアナフィラキシー様症状を起こす患者のいることがわかってきた.これが運動誘発アナフィラキシー(exercise in-duced anaphylaxis;EIAn)である1).
よく似た病気に,気管支喘息患者が運動して,呼吸困難が誘発される運動誘発喘息があるが,蕁麻疹は伴わないのでEIAnとは区別される.EIAnのなかに,食事の後に運動をしてアナフィラキシーが出るものがあり,とくに食餌依存性運動誘発アナフィラキシー(food dependent EIAn)と呼ばれている2),また家族中で多発することもある.
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