増刊号 内科エマージェンシーと救急手技
疾患からみた内科エマージェンシー
消化器疾患
74.出血性胃・十二指腸潰瘍
椎名 泰文
1
,
三輪 剛
1
1東海大学医学部・内科6
pp.1926-1930
発行日 1990年9月30日
Published Date 1990/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900491
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ポイント
1)まずバイタルサインをチェックし,出血性ショックに陥っている場合はただちに全身状態の改善をはかる.
2)状態が安定しているような症例でも,必ず静脈路の確保を行う.
3)緊急血液検査など必要な検査を行いつつ,出血前後の自覚症状,既往歴,吐下血の性状など,できる限りの問診を行う.
4)経鼻胃管を用いて胃洗浄を行う際,排液の性状をよく観察し,出血が持続しているかどうかを判断し,治療方針の決定,緊急内視鏡による内視鏡的止血時の参考にする.
5)内視鏡的止血術は多くの方法が報告されているが,いずれの方法においても止血成績に大きな違いはないため,各々の方法の長所短所を熟知し,最も適した方法を用いる.
6)内視鏡的に止血した後,48時間は経鼻胃管を留置して再出血の早期発見に努め,また胃内pHが酸性に傾くと血小板凝集能が低下し再出血の誘因となるため,胃管からの排液のpHを時間ごとに観察し,再出血をきたさないように治療を行う.
7)外科へのコンサルテーションは,バイタルサイン,出血量,輸血量,潰瘍歴,患者の社会環境などすべてを考慮して行う.
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