増刊号 内科エマージェンシーと救急手技
症状からみた内科エマージェンシー
38.吐血,黒色便
加藤 眞明
1
,
佐島 敬清
1
1横浜市立市民病院・内科
pp.1796-1798
発行日 1990年9月30日
Published Date 1990/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900455
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消化器疾患のなかで吐血,黒色便はよく遭遇する症状であるが,その原因はさまざまであり(表),同一の原因でも軽症から重症,さらにはショックから死に至る場合もある.外来にそのような患者が来院したときには,消化管出血が急性なのか慢性なのか,循環動態が安定しているのかいないのかを早急に判断し,的確な処置を講じなければいけない.最初の目標は循環動態の安定であり,そのうえで個々の治療が考えられる.
吐血は通常Treitz靱帯より上部の消化管が出血源であるが,時として幽門輪以下の場合に胃内への逆流が認められず,大量の出血があっても吐血しないことがある.黒色便は,消化管内に少なくとも100〜200mlの血液があれば認められる.出血源としては上部消化管が多いが,小腸や時に大腸が出血源のこともある.本項では主に上部消化管出血による吐血,黒色便について述べ,下部消化管出血は他項にゆずる(「39.新鮮下血」の項参照⇒P 1800).
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