グラビヤ 写真でわかる対症看護・5
吐血
甕 忠子
1
,
浅川 郁子
1
,
松尾 芳子
1
1東京逓信病院外科
pp.5-12
発行日 1962年8月15日
Published Date 1962/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911693
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血液を嘔吐する原因として、①肺からの出血を誤嚥して胃液と共に嘔吐する場合,②鼻出血,特に中鼻道後端,中隔後部からの出血時に,嚥下しがちなこの血液を,胃液と共に嘔吐する場合,③胃または十二指腸起始部の出血が胃液と共に嘔吐される場合,が考えられる。どの場合も,腸へ移行した血液は,早晩下血となってあらわれるので,喀血,鼻出血,吐血,下血は関連性があるということを再認識し,これまでに至った患者の既往歴を重視して,その主なる疾病の看護にあたることが肝要である.①は喀血で,②については本誌5月号本文記事に詳しいので,ここでは,③の場合をとりあげる。
出血が主症状なので,対症看護としては止血法を講ずる心構えが第一で,1000cc以上もの大出血の場合は短時間に行なわれる処置が予後の経過に大きく影響することを念頭に,適切な救急看護がされねばならない。そのためには,患者に施す看護の手順を正確に把握し自信をもって行動する事が望ましい。少量出血が長期にわたるものより,むしろ緊急に役立つことに重点をおいて日頃行なっていることを紹介する。その時々の状況で少しく前後することもあるかと思う。
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