今月の主題 再灌流療法時代の急性心筋梗塞診療
予後と予防
心筋梗塞症例の予後—interventionの効果
加藤 修
1
1桜橋渡辺病院・循環器内科
pp.114-115
発行日 1990年1月10日
Published Date 1990/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900034
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従来,急性心筋梗塞は致死性不整脈による死亡が高率で,急性期致命率は約30%とされていた.CCU導入以来,抗不整脈剤の開発などにより不整脈死は著明に減少し,病院内致命率は15〜20%に減少した.しかし,IABP(大動脈バルーンパンピング法),新しいカテコールアミンの普及にもかかわらず,重症ポンプ失調合併例(重症心不全,心原性ショック)の致命率は減少せず,急性期死亡原因の60〜70%はポンプ失調とされている.
近年,発症早期に梗塞責任冠動脈の再疎通を計るinterventionとして冠動脈血栓溶解療法,緊急PTCA(経皮経管冠動脈形成術)や緊急CABG(冠動脈-大動脈バイパス術)が普及し,急性心筋梗塞の急性期予後の改善が期待されている.とくに,最近では再疎通による梗塞巣縮小効果とともに,急性期血行動態の改善効果によるポンプ失調死の減少や,梗塞巣修復過程の改善による心室瘤形成抑制や心破裂の予防効果が期待されている.そこで,本稿では急性心筋梗塞の死亡原因について解説し,筆者らの成績を含め再疎通療法の急性期予後に対する効果を述べる.
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