特集 非B非C型肝癌を繙く
3.脂肪肝からの肝発癌
川村 祐介
1
1虎の門病院肝臓センター
キーワード:
脂肪肝
,
肝発癌
,
非ウイルス性
,
アルコール
Keyword:
脂肪肝
,
肝発癌
,
非ウイルス性
,
アルコール
pp.259-264
発行日 2022年2月20日
Published Date 2022/2/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002115
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近年食生活の欧米化に伴い,わが国においても非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の増加が問題となってきている.NAFLDには相互に移行はあるものの,肝組織に脂肪沈着のみを認め,炎症や線維化を伴わない非アルコール性脂肪肝(NAFL:non—alcoholic fatty liver)と,肝組織の脂肪沈着に加え,肝組織の壊死・炎症や線維化を伴う非アルコール性脂肪肝炎(NASH)が含まれる.わが国においては現在,成人人口の9~30%がNAFLDを,1~3%がNASHを合併していると考えられている.NASHでは病状の進行に伴い,肝内の線維化が進行し,肝硬変・肝癌へと悪化していくリスクがある.また現状の問題点としてはNAFLD,とくにNASHの診断においては組織診断が必須とされ,かつエタノール摂取量を含め,やや主観性が内包される指標を含めた除外項目も含まれる.一方で実臨床における脂肪肝症例においては,NASHの基準からやや逸脱するエタノール摂取量から,いわゆるアルコール性と考えられる摂取量まで幅広く存在し,除外的ではない包括的概念での「脂肪肝からの肝発癌」を考えていかなければならない時代になってきていると考える.本稿では,現代社会における大きな問題ともなってきている「脂肪肝とエタノール摂取量」に注目して「肝発癌」との関係を考えてみたいと思う.
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