今月の主題 栄養
技術解説
ビタミンCの定量分析
荒川 信彦
1
,
大塚 恵
2
Nobuhiko ARAKAWA
1
,
Megumi OTSUKA
2
1お茶の水女子大学家政学部食物学科
2お茶の水女子大学栄養化学研究室
pp.19-32
発行日 1982年1月15日
Published Date 1982/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911459
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ビタミンCはアスコルビン酸(L-ascorbic acid;AsA)の化学名で知られ,細胞内における各種の物質代謝に多様に関与している.主な生理作用としてはコラーゲンの生成と保持がある.また,チロシンやコレステロールの代謝に重要な役割を演ずる.さらにホルモンとの関係も密接であり,ストレス時のアドレナリン分泌にはAsAが必要とされている.
しかし,霊長類(ヒト,サル)およびモルモットなどにはAsA生合成能がなく,これをビタミンとして摂取しなければならない.AsA欠乏によって起こる壊血病では,組織の発育が悪くなり,皮膚や歯齦からの出血,発育障害が現れる.また感染に対する抵抗力も低下し,傷の治癒も遅れることが知られている.AsA不足状態を初期に発見するために毛細血管抵抗の測定やインドフェノール皮内反応,血中・尿中のAsA濃度測定などの検査法がある.
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