Senior Course 生化学
放射化分析によるカルシウムの定量
坂岸 良克
1
1東京医歯大・中検
pp.331
発行日 1972年3月15日
Published Date 1972/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907566
- 有料閲覧
- 文献概要
臨床化学分析法のうちで最も扱いにくい項目にカルシウム(Ca)とマグネシウム(Mg)がある.多くの検査室ではEDTAキレート滴定を行なうか,CaはOクレゾールフタレインコンプレクソン法で比色し,Mgは原子吸光法で求めている.螢光法もあるが,バックグラウンドが不定で十分満足できる測定法とはいいきれない.
Caは骨や歯を構成するハイドロオキシアパタイトの主成分であると同時に,そのイオンの関与する反応,すなわち血液凝固,筋収縮,神経系の興奮などになくてはならない.さらに組織については細胞間の接合を多糖類とともに維持するのに役だっているものと思われる.血清中のカルシウム濃度を2.5mMとすると,膜透析性成分はイオン型1.33mM,無機可溶性塩型0.32mMの合計1.65mMで,残りの0.85mMはアルブミンとの結合カルシウム0.67mM,グロブリンとの結合カルシウム0.18mMで,これらは非透過性成分に相当する.これら両成分の分離は必ずしも困難ではないが,総カルシウム測定法の必要性が優先すると思うので,ごく最近報告が出はじめた放射化分析法について述べてみたい.
Copyright © 1972, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.