今月の主題 脂質
技術
質量分析計を用いたエイコサノイドの一斉定量分析系の開発
北 芳博
1
,
清水 孝雄
1
Yoshihiro KITA
1
,
Takao SHIMIZU
1
1東京大学医学部生化学分子生物学講座
キーワード:
脂質メディエーター
,
質量分析計
,
一斉定量
Keyword:
脂質メディエーター
,
質量分析計
,
一斉定量
pp.541-545
発行日 2007年5月15日
Published Date 2007/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101205
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1.はじめに
プロスタグランジン(prostaglandin;PG)やロイコトリエン(leukotriene;LT)に代表されるエイコサノイドは,アラキドン酸に由来する生体内代謝物であり,様々な疾患や生理機能にかかわる脂質メディエーターである1).生体内における脂質メディエーターの機能の研究において細胞や組織中における脂質メディエーター量を測定する必要性は高く,筆者らの研究室においても従来ELISAを用いて各種エイコサノイドの定量を行ってきた.ELISAによるエイコサノイド定量はキット化されているものもあり簡便であるが,特異的な抗体が存在しない(したがってキット化もされていない)エイコサノイドは測定できず,また一斉定量には不向きである.そこで筆者らは,微量の試料から種々のエイコサノイドを高感度で一斉定量することを目的として質量分析計を用いた一斉定量系を開発した2).
本稿では,エレクトロスプレーイオン化(electrospray ionization;ESI)タンデム質量分析計(MS/MS)を用いた一斉定量分析系の原理と特性について解説するとともに,生体試料からの脂質抽出や前処理などの関連技術についても紹介する.
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