書評
—岩田 淳 監訳—医師として知らなければ恥ずかしい50の臨床研究:神経編
井口 保之
1
1東京慈恵会医科大学神経内科
pp.1195
発行日 2017年7月10日
Published Date 2017/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402225003
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「経験に基づく医療」から「科学的根拠に基づく医療」,臨床医学は20世紀末から21世紀にかけて大きなパラダイム・シフトを迎えている.賢者は歴史に学ぶ,この「歴史」とは多くの医科学者が積み重ねた科学的根拠と言い換えることができよう.臨床,研究,そして教育に情熱を注ぐ賢者,岩田 淳博士は此の度『医師として知らなければ恥ずかしい50の臨床研究:神経編』を監訳上梓し,我々を実臨床の大海原への旅に誘う.
表紙を開くと,原著題名「50 Studies Every Neurologist Should Know」が目にはいる.原著題名にあるNeurologistの訳語である「神経内科医」に囚われない訳者らの心遣いは,いやおうなしに読者の想像力を掻き立てる.所謂一般診療でよく遭遇する認知症,てんかん,頭痛,脳血管障害について「なるほど,我々の処方の根拠はここにある」と頷くことに気がつく.神経眼科,神経耳科領域をあえて別項で取り上げた点は,症候に注目せよと警鐘を鳴らす著者一同の狙いと感服する.
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