特集 内分泌疾患を診きわめる
Overview
ホルモン作用からみた症候
田上 哲也
1
1京都医療センター内分泌・代謝内科
pp.2082-2085
発行日 2016年12月10日
Published Date 2016/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402224489
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内分泌疾患は「ホルモン作用の異常に基づく疾患」と言い換えることができる.ホルモン作用の異常とは,作用が“亢進”しているか,“低下”しているかということである.作用亢進は,過敏状態による場合もごく稀にはあるが,ほとんどは血中ホルモンの“過剰”による.
一方,作用低下は,血中ホルモンの減少によるだけでなく,ホルモン抵抗性によっても引き起こされる.抵抗性とは「ホルモンが十分あるにもかかわらず何らかの理由でそれが効かない状態」を指す.例えば,メタボリックシンドロームは内臓脂肪の蓄積によるインスリン抵抗性が元凶となっていることはご存じの通りである.すなわち,糖尿病の表現型である高血糖の主たる原因は,インスリンというほぼ唯一と言ってよい血糖値降下作用をもつホルモンの作用の低下に基づくが,膵ラ氏島からのインスリン分泌が低下(“欠乏”)しているのか(1型糖尿病),インスリン“抵抗”性に基づいているのか(2型糖尿病),ということである.言うまでもなく,インスリン分泌の“過剰”は「低血糖」を引き起こす.
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