REVIEW & PREVIEW
網膜血管径変化と全身疾患リスク
平山 敦士
1,2
,
川崎 良
1
1山形大学医学部公衆衛生学講座
2山形大学医学部内科学第一(循環・呼吸・腎臓内科学)講座
pp.1418-1421
発行日 2015年7月10日
Published Date 2015/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223634
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網膜血管は,19世紀後半に検眼鏡が開発されて以降,生体内において非侵襲的に直接観察が可能な唯一の血管として,われわれに臨床上重要な情報を提供してきた.古典的には高血圧性眼底変化を評価するScheie分類や,高血圧と細動脈硬化をそれぞれ別軸として評価するKeith-Wagener分類が知られている.本邦における健康診断をはじめとした予防医療の現場においても,高血圧および循環器疾患の危険評価として用いられてきた.
しかし,現代の高血圧や脳卒中をはじめとする循環器疾患の予防,危険の層別化において,これらの古典的な分類はどれだけ貢献できているだろうか.日本高血圧学会のガイドラインでは網膜血管に「重症所見」(Scheie分類でⅢ度以上の所見)がある場合は高血圧の臓器障害と考え,降圧治療を勧めるなどとしているが,実際にはScheie分類Ⅲ度以上の所見をみる機会は少ない.そのため,重症高血圧患者が減少しつつある現在,より微細な変化を検出できる定性的・定量的な評価方法が求められてきた.その代表的な指標が「網膜血管径」である.
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